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『大和文華館』 奈良・学園前


 

         大和文華館 

 

       

 11月23日、中野美術館を楽しんだ後、大和文華館に行く。

 大和文華館は昭和21年、近畿日本鉄道近鉄)社長であった種田虎雄(おいたとらお)が設立。

 京都、奈良、伊勢など日本の文化の中心地を結ぶ鉄道会社にふさわしい美術の殿堂をつくろうと考えたとのこと。

 美術史学者・矢代幸雄を初代館長に任命。

 時代や地域の美意識を代表する名品が、偏りなくまんべんなく集められていることが大和文華館の特徴と記されている。

 

 静かな館内は、中央に竹が生やされ、一種独特の美しい日本美に触れながら、古美術を楽しむ事ができる。

 別名『竹の庭の美術館』とも言う。

 鹿文様の笛は拓本(?)がとられ、印のように全体の文様を眺める工夫がなされている。

 竹の空間が中央にあるので光が心配と思いきや、さにあらず。

 後方三方は光を遮る工夫がなされていた。

 

 竜田川紅葉の文様の塗皿五枚が各入り口と出口に展示さて、秋冬にふさわしい展示の工夫に見とれてしまう。

 

 古い大胆な掛け軸や伊勢物語を題材とした屏風、中国や西アジアの唐草文様や植物文様。

 葡萄や石榴の説明もあり、一般客にもわかりやすい。

 

 大和文華館は、説明がとても親切で、美術的論点からだけではなく、民俗学的な方向からのひもとかれており、ユニークで好きだ。

 例えば『羽黒鏡』は山形の御手洗池(鏡池)で600面ほど発見された。

 この鏡には自然風景や動植物の模様が多いそうだ。

 ここまでは普通なのだが、興味深いのは次。

《池は水鏡としても称され手、池に様々な願いをかけ、また 池を神秘化して、池に鏡を投げ入れることによって願いがかなうことを祈った》

という具合に、簡単だが意味合いを説明されているのはありがたい。

 他にも松雪山房の理想なども記され、観ていてとても楽しい。

 

 展示物は艶やかな古美術からこぢんまりとした古いものまで、色とりどりに集められている。

 香炉や器や花瓶。にゅうが入り色の変色した器が、とりわけ私の心をとらえた。

       

 館内からは菅原池(通称、蛙股池)を楽しむことができる。

 こちらも中野美術館から見える静かな池のように、鴨が戯れている。

  大きな池で、カラスなども遊び、活気のある池。

 

 写真②は文華ホールの一部。

 奈良ホテルのラウンジを移築したそうだ。

 この建物は、日本銀行と同じ建築家とのこと。

 美しいフォルムだ。

 

 この美術館は門を入ってから、かなり歩いて行くと展示館に辿り着く。

 白砂がひかれ、熊手で縦に何百メートルの筋を何本もつけてあるところは心地良い。

 ただしこれは会館時間直後の方が、美しい状態かも知れない。

 私は見事にひかれた白砂の縦線に誘われるように、開場に向かう。

 

 入り口を右に行くと遊歩道。

 こちらも見事に美しい植物が楽しめる。

 歩いていくと、やはり展示場にたどり着く仕掛けだ。

 

 入り口左には、新しいながらも立派なお社が三つ。

 小さめの出雲大社の一部のようで、神々がおりてくるようなひっそり感はすばらしい。

 こちらの場所は立ち入り禁止で、遠くから眺めることになる。

 

 大和文華館は一度見ただけでは見切れないほどの素晴らしい古美術が展示されている。

 季節を変え、展示物や庭の植物を楽しむ事のできる、良質の美術館である。

 

 

 〒631-0034

 奈良市学園南1丁目11番6号

 近鉄奈良線学園前駅 徒歩7分