文学入門
カフカ『腹をくくること』 『カフカ小説全集4 変身』池内紀訳 白水社 みじめな状態から抜け出るには、原さえくくれば簡単だ。勢いよくやおら椅子から立ち上がり、机を廻り、頭と首をくねくねさせ、目を光らせ、かつは目の周りのきんにくをゆるめる。いかな…
カフカ『田舎医者』 『カフカ小説全集4 変身』池内紀訳 白水社 カフカの短編『田舎医者』を読む。 文庫本の短編集に載っているので読んでいたはずだが、忘れていた。 以前読んだときは、どう考えたのであろうか。 短く簡単な分だが、難解だ。 カフカが『田…
カフカ『新しい弁護士』 『カフカ小説全集4 変身』池内紀訳 白水社 『新しい弁護士』 新しい弁護士である。名前はドクトル・ブケファロス。外見はマケドニア王アレクサンドロスの軍馬だったころの面影はほとんどない。しかし、消息通にはわかるようで、つい…
カフカ『通りの窓』 『カフカ小説全集4 変身』池内紀訳 白水社 通りの窓 ひっそりと暮らしていて、それでも時折、何かに結びつきがほしい人、一日の時刻や、天気や、仕事の事情、そのたぐいのことが変化するのに応じて、すがりつける腕といったものがほしい…
カフカ『突然の散歩』 『カフカ小説全集4 変身』池内紀訳 白水社 夕方要約外出はやめと腹が決まった気がして、室内衣を着こみ、夕食のあと明かりの下に腰をすえ、仕事の片付け、ちょっとした気晴らしを思案した。そのあとは、いつもどおり床につくはず。外…
カフカ『隣の村』 『カフカ小説全集4 変身』池内紀訳 白水社 『隣の村』 カフカ 祖父は口癖のように言ったものだ。 「人生はたまげるほど短い、いま思い出しても、ほんの一歩毛なもので、例えばの話、著者がひっ走り、隣の村まで馬を走らせたとする。どうし…
『砂の女(シナリオ)』『砂の女は私の中にいる(安部公房・岸田京子 対談)』新潮社 『安部公房全集 018』より 若かりし頃何度も読んだ『砂の女』を読み返したが、ずいぶん違って感じる部分もあった。 しかし覚えている言葉や展開も多く、また最後の、7年目…
『樹木』 『カフカ小説全集 4 変身 ほか』より 池内紀訳 白水社 『樹木』 『カフカ小説全集 4 変身 ほか』より 池内紀訳 白水社 2001年 「変身」93~155頁 2800円+税 つまり、われわれは雪のなかの樹木の幹のようだ。のっかっているだけ、ちょいと突けば押…
『カフカ小説全集 4 変身 ほか』より「変身」 池内紀訳 白水社 『カフカ小説全集 4 変身 ほか』より「変身」 池内紀訳 白水社 2001年 「変身」93~155頁 2800円+税 中学で読んだ『変身』 最近映画で見て、講演を聴き、小説を読む。 映画はかなり小説に忠実…
カフカ『変身』を受講する 3月1日 カフカの『変身』について書かれた背景や動機についての講演を聴く。 文通相手であり恋人の誕生日にプレゼントとして書き始めた『変身』 そこには、自分と結婚すれば、こういった生活になるんだよという戒めが含まれている…
映画『変身』 3,9★/5 カフカ 84分 中学のころ読んだ中学のころ読んだ『変身』とはまた違った怖さを感じた。 理解、、暴力、疎外: 恐怖、孤独、死 これは得意なメタモルフォーゼの話ではない。 今現在も身近に起こっているリアルな出来事を象徴的にとらえた…
『夏目漱石最後の〈笑い〉『明暗』の凡常』第二章 4 細谷博 著 進典社 南山大学学術業書 メモ 『夏目漱石最後の〈笑い〉『明暗』の凡常』 第二章 3の続き 「気の能く廻る津田の頭」(80) 「技巧的な彼」(80) 「怜悧」 小林→津田 「君という男は、非常に…
『小林秀雄集』「徒然草」(昭和十七年八月) 筑摩現代文学大系 43 memo 小林秀雄の「当麻」に続き、「徒然草」を読むが非常に短い。 「徒然なる儘に、日ぐらし、硯に向ひて、、、、物狂ほしけれ」はあまりにも有名なフレーズだが、小林ひでをはその言葉の重…
『小林秀雄集』「当麻」(昭和十七年四月) 筑摩現代文学大系 43 メモ 小林秀雄集の「当麻」を読了、といっても、大変短い! 「梅若の能楽堂で、万三郎の当麻を見た。」から始まる「当麻」 僕は、星が輝き、雪が消え残ったと道を歩いてゐた。 (365) 美し…
『人と文学 小林秀雄』2 「『無常といふ事』と沈黙」 細谷博著 勉誠出版 memo 前回は「一ツの脳髄」について書かれた箇所を読んだが今回は『無常といふ事』と云う言葉の響きと、『当麻』『徒然草』に惹かれ、「『無常といふ事』と沈黙」を読む。 本書を頼り…
ネムルート (トルコ) この写真は、夕暮れ ネムルートは翌日、朝日も見に行った。 『夏目漱石最後の〈笑い〉『明暗』の凡常』第二章 3 細谷博 著 進典社 南山大学学術業書 メモ 『夏目漱石最後の〈笑い〉『明暗』の凡常』 第二章 2の続き 「気の能く廻る津…
写真はターケボスターン(イラン) 『夏目漱石最後の〈笑い〉『明暗』の凡常』第二章 2 細谷博 著 進典社 南山大学学術業書 メモ 『夏目漱石最後の〈笑い〉『明暗』の凡常』第二章を読んでいたが、メモが遅れる。 今回は 10会話と〈講釈〉から 「いやよ、私…
『小林秀雄集』「一ツの脳髄」(大正十三年七月) 筑摩現代文学大系 43 メモ 小林秀雄集の「一ツの脳髄」を読む。 まずはじめに題を見て、「一つの脳髄」ではなく、「一ツの脳髄」という点に、細胞単位でまで考えられたような、そんな作者の遊び感覚に心地…
『夏目漱石最後の〈笑い〉『明暗』の凡常』第二章 1 細谷博 著 進典社 南山大学学術業書 メモ 『夏目漱石最後の〈笑い〉『明暗』の凡常』第二章を読む。 深刻な内容にもかかわらず、医者のことばが妙に捌けていると、『明暗』(おそらく1)の感想で書いたが…
二月、青蓮院(京都)にて 『夏目漱石最後の〈笑い〉『明暗』の凡常』 1 細谷博 著 進典社 南山大学学術業書 メモ 夏目漱石の『明暗』の雰囲気がわかり始めたので、『夏目漱石最後の〈笑い〉『明暗』の凡常』を読み始める。 というか恥ずかしい話だが、十代…
『明暗』4 夏目漱石全集 8 筑摩全集類聚 昭和46年 〈十話〉まで 「ところが癒らない。愈(いよいよ)厄介なことになっちまった」 6 といい、妻の話を聞き捨てて表へ出る。 「でもそれは悪いわ、貴方。せっかくああ云って呉れるものを断っちゃ」 7 と、芝居…
何度と無く訪れたナクシェ・ロスタム ここでは子供達と遊んだり、ノネズミ相手に、量り売りのパイ歌詞を食べていたことを思い出す。 管理人の一人とは、家族のみならず、いつしか私まで顔なじみになっていた^^ 太宰治全集 2 小説1から 『魚服記』(筑摩書…
太宰治『魚服記に就て』 細谷博 著『太宰治』に記された『魚服記』が気になっったので、『魚服記に就て』を書き写す。 太宰治全集 11 随想 (筑摩書房) 『魚服記に就て』を写す P.5 『魚服記に就て』 魚服記といふのは支那の古い書物にをさめられてゐる短…
キャンドバーン イラン 『太宰治』2 細谷博 著 筆名の〈軽み〉/ 『魚服記』 岩波新書560 詳しく親切に解説されている書、『太宰治』 乱鳥のノート 『たづねびと』 『津軽』 子守、たけ 17 文学への目覚め 17 芥川に影響を受ける 筆名の〈軽み〉 18- ダ ザイ…
『明暗』3 夏目漱石全集 8 筑摩全集類聚 昭和46年 筑摩全集類聚『明暗』 5頁の三 を読むと、〈津田〉 登場。 『夏目漱石最後の〈笑い〉 『明暗』の凡常』の登場人物関係図で確かめると、大変わかりやすい。 『明暗』の〈人物関係図〉を一目見て思い浮かべた…
『明暗』2 夏目漱石全集 8 筑摩全集類聚 昭和46年 筑摩全集類聚『明暗』で、好きな部分を抜き出す。 、、、、、突然彼は心の中で叫んだ。 「精神界も同じだ。精神界も全く同じことだ。何時どう変るか分からない。そうして其変る所を己(おれ)は見たのだ」 …
『明暗』1 夏目漱石全集 8 筑摩全集類聚 昭和46年 取り急ぎ図書館に行き、筑摩全集類聚の『明暗』を借りる。 だが、某優良書には新潮文庫のページが記されていたので、時々利用する日本の古本屋で急遽頼むことにした。 『明暗』は読んだが記憶にない。 漱石…
写真は、東博にて。ペルシャの皿。 『太宰治』1 岩波新書560 「再入門」一回一回が「入門」 3 〈大人の場所〉 未熟な読者もいつか歳をとる。 →やがてはっきりと見限ることで人はおのれに区切りをつける。 自らを振り返り、吟味し、自惚れ、卑下し、呆れ果て…